オーストラリアの研究者が阿里山林業鉄道を現地調査 官民連携と地域文化力を高く評価

2026/07/20

オーストラリア研究委員会(Australian Research Council)の助成を受けた国際研究プロジェクト「レールを表象する:越境的文脈における鉄道遺産」(Representing Rail: Railway Heritage in Transnational Contexts)のメンバーである、オーストラリア・ディーキン大学人文社会科学部のキャロリン・ホルブルック准教授(Carolyn Holbrook)と、文化遺産の専門家ソフィー・バトラー氏(Sophie Butler)が、7月14日から16日までの3日間、阿里山林業鉄道を訪れ、現地調査を行いました。今回の訪問により、阿里山林業鉄道が再び国際的な研究の対象として注目を集めています。
 「レールを表象する:越境的文脈における鉄道遺産」は、世界各国の大学が参加する3年間の国際研究プロジェクトです。阿里山林業鉄道が研究対象に選ばれた背景には、近年進められてきたオーストラリアのパッフィンビリー鉄道との交流があります。本研究では、歴史と地域社会との関わりという視点から、100年以上の歴史を持つ阿里山林業鉄道が、地域の人々の暮らしとどのように深い関係を築いてきたのかを調査します。

【子どもや若者へ受け継がれる鉄道文化】
 両研究者は職員と林鉄に乗車し、沿線で険しい地形を克服するために取り入れられた鉄道技術や、標高の変化に伴う自然景観の移り変わりを調査しました。鉄道駅や歴史ある商店街、集落のほか、林森小学校、圓崇小学校、阿里山青年大使、鹿満地域発展協会、檜意森活村などを訪問しました。両研究者は、林森小学校と圓崇小学校による林鉄をテーマとした授業について説明を受け、学校が100年以上の歴史を持つ鉄道を地域学習の教材として取り入れ、子どもたちが幼い頃からふるさとの鉄道について学んでいることを分かりました。
 特に「阿里山青年大使」との交流について、キャロリン・ホルブルック准教授は、次のように高く評価しました。「これはイギリスやオーストラリアとは大きく異なります。阿里山林業鉄道では、若者や地域住民から始まる『ボトムアップ型』の活動がしっかりと根付いています。地域の若者が自らふるさとの物語を見つけ、それを広め、さらに家族にも影響を与えていくことは、とても心に残る文化継承の形です。」
 また、ホルブルック准教授は、列車が駅に到着する前に流れる地元音楽家のオリジナル曲や、沿線地域の子どもたちが録音した駅の物語の車内放送についても高く評価しました。それぞれの音楽が車窓から見える景色とよく合っており、鉄道と地域の芸術文化を結び付けた優れた取り組みであると述べました。また、旅行者が地域の物語を耳で楽しむことのできる、すばらしい乗車体験にもなっていると評価しました。

【官民連携と文化遺産の修復】
 鹿麻産駅を通じて地域の団体が文化保存や阿里山林業鉄道の文化発信に参加していることを高く評価しました。このような行政と地域団体との連携は、鉄道資産を有効に活用するだけでなく、地域に実際の雇用機会を生み出していると述べました。檜意森活村では、阿里山林業鉄道のボランティアガイドが英語で、檜意森活村と阿里山の林業との関係や、営林クラブ、職員宿舎の修復過程について説明しました。「国からの十分な支援があり、文化遺産を保存する考え方も広く定着した最も良い時期に、阿里山林業鉄路及び文化資産管理処は、これらの貴重な文化遺産を適切に修復し、新たに活用しています。」文化遺産専門家のソフィー・バトラー氏はそう述べました。

【阿里山の魅力を世界へ】
 訪問を終える前に、両研究者は、阿里山林業鉄道について、世界各地の多くの文化遺産鉄道と同様に、豊かな歴史、美しい景観、鉄道ならではの楽しさを備えていると述べました。一方で、特に心に残ったのは、沿線地域で活発に活動する住民と、親切に対応する鉄道職員だったと話しました。今後、研究内容について阿里山林業鉄路及び文化資産管理処とさらに意見交換を行い、この国際研究の成果を世界へ発信していくことを楽しみにしています。

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最終更新日時:2026-07-22
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